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ディスレクシアと英語

ディスレクシアってなんだろう?

ディスレクシアの発症率

ディスレクシアとは、読み書きの困難を意味しますが、全く読めない、書けないというわけではなく、読めるけれども書けなかったり、文字を音声にするのに時間がかかったり、文字そのものを正しく認識することが難しかったり、文字を思い出すことが難しいなど、人によってさまざまな難しさがあり、その程度も違っています。

ですが、英語圏と日本では、この「読み書きが苦手」な割合が大きく違います。ディスレクシアの発症率は、日本では4~5%、英語圏では10~15%と言われています。この数値は、文献によって多少の違いはありますが、少なくとも日本と英語圏での発症率が同じと言う文献は皆無と言ってよいです。では、日本と英語圏で、なぜ発症率に違いがあるのでしょうか?それには理由があります。

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英語はディスレクシアが表面化しやすい言語

日本語のかな文字は文字と音がほぼ一致しています(たとえば「か」は/ka/と発音しますね)が、英語は同じ文字でも、単語によって音が変わります。例えば、aという文字が、makeという単語では/meik/の/ei/の音になりますし、askという単語では、/ask/の/a/という音に変わります。また、日本語よりも英語のアルファベットは、音素というより小さな音韻を認識し、操作できることが文字の読み書きに必須と言われています。この、「言語の音を正しく認識し、処理する」力を音韻認識(おんいんにんしき)と言います。読み書きが正しくできるためには、文字を覚えたり、単語を覚えたりするのではなく、それ以前に「音韻認識」を育てなくてはなりません。

つまり、ディスレクシアは読み書きの障害ですが記の複雑な音韻を正しく頭の中で処理する必要があるわけです。英語圏の人々でも10~15%の人々がディスレクシアであるということは、英語を母語としない日本人のわたしたちが英語を学べば、母語のディスレクシア以上の割合で、音韻処理を原因とした読み書きの躓きが生じることが容易に予測できます。

日本で学習障害=英語が苦手になる、ではない

「学習障害」といってもさまざまな症状があり、その程度も人によって異なります。

日本の場合最も多いのが、漢字が覚えられないという躓きではないでしょうか。漢字が覚えられない(書けない、読めない)にも理由があり、その理由によって指導が異なります。英語の場合も同じで、英単語が読めない、書けないという理由を探り、その弱さを補強できるような指導を行います。

たとえば本教室では、大きく3つのタイプに分けて英語の躓きを捉えています。たとえば文字は読めるんだけれど書字に難しさがある場合、アルファベット文字のbとdの混乱、四線に正しく書けない、スペルが全くできないかもしれません。あるいは、小学校低学年ごろに仮名の読み書きの習得で、特に特殊音節とよばれる読み書きが苦手だった経験があれば、英語のフォニックスを習っても、うまく単語にして読めなかったり、英語を聞いても音が聞き分けられなかったりという問題があるかもしれません。さらに、小学校ではとてもがんばって成績も普通かそれ以上だったのに、中学校になると突然英語に躓き、他の科目以上に努力をしてもスペルが全く覚えられない、というタイプがあります。

これらの英語の躓きはすべて「英語ができない」と一括りにされてしまいますが、それぞれ背景の要因となっている部分が違う可能性が高いのです。ですから、全員同じように「書いて覚えよう」や、「これだけをしていれば良い」といった、一律の指導をすることは本人に合っていなければ、効果が出ないだけでなく、本人にとってはとてもつらいことです。

英語ができないのは、その子が悪いのではなく、自分に合わない指導を押しつけられた結果だとも言えます。もともと読み書き習得の難易度の高い言語の英語学習では、文字習得や音への気づきが弱い子どもであれば、誰でも躓く可能性の高い科目です。ですが、子どもひとり一人の強み、弱みを知り、読み書き躓きの背後を理解することで、その子に一番合った学習方法や、指導を提供すれば、英語の習得は決して「不可能」ではありません。

LEK 英語読み書き学習支援のプログラムでは、最新の英語圏のディスレクシア研究や、日本の特別支援教育の成果を授業や教材に採用しており、これまでに多くのお子さんへの英語指導の成功実績があります。

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